会計事務所の独立前後で変わった点
2017年1月に会計事務所として独立して、はや4カ月が経過しました。
独立前に思っていた以上には仕事に恵まれ、難解な所得税の申告から、手を付けやすい相続対策まで考える機会がありました。
仕事の分量としては、
「とりあえずやることはあるが、毎日定時まで事務所にいなければならない程ではない。」
といったところでしょうか。
もう少し増えていくと嬉しいです。
ただ、突然忙しくなり、お客様に満足したサービスが提供できなくなる、休日も返上して対応しなければならなくなる、というのは私の本意ではないので、1件1件、新規のお客様に対し丁寧に対応し、安定したら次のお客様に向き合うスタンスを取っていきたいと考えています。
単に複数のことを一度にできず不器用なだけかもしれませんが。
独立前後で変わった点は、以下の点があります。
プラス面
▼通勤に時間を割かなくてよくなった
勤務時代は片道1時間程度かかっていました。毎日の往復2時間が無くなったのは非常に楽です。
▼通勤の満員電車に乗らなくてよくなった
座れないことも多く、疲れが蓄積します。
▼無駄に事務所へ行くこともなくなった
会計事務所には繁忙期・閑散期ありますが、閑散期でも必ず定時までに行く必要がありました。
▼評価を気にして遅くまで残る必要がなくなった
「遅くまで残っている=頑張っている、有能」の会社はまだまだ多いと思います。
その点勤務していた会計事務所は、「残業≠有能」の考えでありがたかったです。
▼平日の研修も心置きなく行けるようになった
業務に穴を空けて平日に研修へ行くのは心苦しいところがありました。
▼新たな人との出会い、関わりが増えた
異業種交流会、研修、勉強会等、人との出会いが圧倒的に増えました。
▼新たな仕事ができるようになった
独立すると仕事の幅が大きく広がります。というか無限です。
会計税務だけでなく、保険を扱ったり、ホームページを作ったりとなんでも屋になれます。
▼営業時間中でも会計、税務の雑誌が読めるようになった
勤務時代給料が発生している時間帯に、自己研鑽だとしても雑誌や書籍はなかなか読めませんでした。
▼支出を経費で落とせるようになった(もちろん業務関連費用)
本を買ったり、便利そうな文房具だったりを経費にできるようになります。
▼上司に報連相をする必要がなくなった
報告・連絡・相談すれば、そんなことは自分で考えろと言われ、報告しなければなぜ黙っていたと言われる線引きが難しかったです。
▼上司との気を遣う帰れない飲み会が無くなった
組織で生きているなら必ずあるだろう悩みかもしれませんが。
▼上司のむちゃぶりに無理して対応する必要がなくなった
仕事でも仕事外でも、むちゃぶりをされても、無理です、と言えなかった自分も悪いのですが。
▼やりたくない、無意味な仕事をやらなくて済むようになった
これまでもずっとそのやり方だからそのままやって。という人もいました。
ひたすら事務作業していてくれればいいから、というのも何か違うと思います。
▼合わない人とは仕事をしなくて済むようになった
嫌み、皮肉、愚痴を言わないと気が済まない人との仕事は、精神的にも仕事の能率的にもよくありません。
自分と波長の合う人と、いい仕事を気持ちよくすることでお互い高まりあうのではないかと思います。
▼他の社員や職員に対し不公平感を抱くことが無くなった
これに関しては、勤務している以上解消するための答えはありません。
その不公平感は主観であるためで、業務量、難易度、給与で誰かと比較すれば必ず不公平感は出てきます。
それが耐えられないものであれば独立しかないと思います。
▼事務作業の場合は雰囲気の良い音楽をかけながらでもできる
クラシックやジャズ、ピアノをかけながらだと、集中力が高まります。
勤務していたらなかなか難しいですね。
▼自分の予定をすべてコントロールできる
上司に突然飲みに誘われることもなく、また昼間しか会えない人に会えたりと、時間の使い方が自由です。
▼長期休暇をとりやすい
お客様との予定がなければ、長期休暇はいつでも取れます。
▼調べる時間が増えた
残業代の有無や残業自体が評価対象となったりと、何かと残業に対しては複雑な感情や問題が生じます。
そんなことを気にすることなく、気になることがあれば夜遅くまで調べることもできます。
大変になる面
▼お客様がいなければ収入はゼロ
嫌なことに耐えてさえいれば、毎月一定額の給料をもらえるのはやはり魅力的です。
▼自分の資金繰りを意識するようになった
年間のソフト更新料、保険料、税の支払い等、これまで以上に資金繰りを気にしています。
▼事務作業も全て自分で(郵便、文房具をそろえる、電話に出る等)
人を雇っていないと全て自分でやらなければなりません。
ただ、20万円前後払ってまでやってもらう仕事でもないので、しばらくは自分でやることにします。
▼自分の答えがお客様の答え
最後は会社が、所長が責任を負う、ということはできないのでこれまで以上に十分な検討の上判断しています。
▼強烈に営業が多い
上に書いた、新しい出会いがある点の負の側面ですが、営業が非常に多いです。
いい方だと思っていても、結果として何かを売る目的だったということはかなりの確率であります。
会社に所属していれば「私では決められない」と逃げることができるのでしょうが、より慎重にその要否と人を見極める力が必要です。
▼自分から動かないと人との出会いがない
能力やいい商品を持っていたとしても、知ってもらわなければ広まりません。
とにかく自分を知ってもらうための手段や方法を考える必要があります。
▼有給休暇が無くなった
自由に休めるものの、正式な手続きを経たものではない以上どことなくお客様に対し後ろめたい休みになります。
▼営業時間があって無いようなもの
営業時間外、休日でも電話がかかってこれば出なければなりません。
オンオフを切り替えるため、少しずつ改善していこうかとも思っていますが、しばらくはこのまま出ることにします。
▼自分に厳しくないとサボる
朝遅くても、事務所へ行かなくても、極端な話仕事をしなくても誰にも怒られません。
自分を律することができない場合、お客様が離れていってしまう結果になるでしょう。
▼叱ってくれる人がおらず、自分の非常識な点がわからなくなる
上に同じですが、誰にも指摘されませんので、世間とのズレが把握しづらくなります。
▼話し相手がいない
雑談をする相手がいないので少し寂しく感じることはあります。
総括
こうしてみると、厳しい側面もありますが、やはり独立してからの方が充実して楽しく仕事ができていると思います。
会計事務所に限らず、どの業種の方もぜひ独立を意識しながら仕事ができるといいのではないでしょうか。