公認会計士試験勉強法 科目別

 2016年11月9日に書きました、

ブログ:公認会計士試験勉強法

の第2弾になります。

「google analytics」

というフリーソフトを使って私のホームページのアクセス解析を行っているのですが、意外にもこのブログを読んでいただけている方の数が多いです。

 公認会計士試験については、

私が受験した2010年(平成22年)の 出願者25,648人、合格者2,041人 と比べ、

執筆時最新の2016年(平成28年)の 出願者10,256人、合格者1,108人 と、

出願者が半分以下に低下してしまってはいますが、近年の粉飾事例等で監査法人、会計監査に対する世間の注目もあり、公認会計士試験受験生、または受験を検討されている方に見ていただけているのでしょうか。

 せっかくですので今回、公認会計士試験の各科目の勉強法について、短答式(マーク式)、論文式の別に触れてみたいと思います。

 なお、公認会計士試験の試験範囲については、金融庁所属の公認会計士監査審査会が提示してる下記リンクをご覧ください。

平成29年公認会計士試験出題範囲

何をもって仕上がったというのか

 予備校などでは、

「試験日から逆算してあとどれくらいで仕上げればいいのかを考え、計画的に勉強を進めましょう。」

という話がある思いますが、私はよくこう思っていました。

「具体的に何がどうなったら仕上がったといえるんだろう。」

 勉強してもしても、以前学んだ論点を忘れていそうで、仕上がりに全く自信が持てませんでした。

 同じように思っている方もいると思うので、私の体験を踏まえた、ここまで行けば受かるという、「完成レベル」を先に提示しつつ、その「完成」に向けてどう学習を進めていくべきかを「逆向きに」述べてみたいと思います。

(余談ですが、監査も同じですね。税務の仕事は、仕訳を積み上げ決算書を作成し、税金を計算するという積み上げの仕事ですが、監査の仕事は、でき上がった決算書が適正なものかを、明細、仕訳にブレイクダウンして検討します。)

 ただし、あくまでも試験に受かるためだけのもので、理解は二の次の学習法です。
 普通にテキストを読んで理解した上で問題を解けるという方はそちらの方がいい気がします。

試験まで残り1か月程度の「完成レベル」

・1日のスケジュール表を作り、毎日決められたルーチンをこなすことを徹底

▼ルーチン例(論文前)

9:00-10:00 財務会計(計算)
11:00-12:00 財務会計(理論)
12:00-13:00 ~昼食休憩~
13:00-14:30 管理会計(計算)
14:30-15:00 管理会計(理論)
15:00-16:00 企業法
16:00-18:00 租税法(計算)
18:00-19:00 ~休憩~
19:00-20:00 経営学
20:00-21:00 監査論

23:00-24:00 ゲーム

※土曜は気が向いた科目(苦手な科目)をのんびり、日曜はオフ(ジムでリフレッシュ)でした
※できる限り計算と読み物は交互に、また眠くなる時間に計算を入れました
※仕上がり状態に応じて時間の幅は定期的に変えてはいました

 できる限り、設定した時間割を崩さず、また1日で全ての科目に触れられるようにしていました。
 時間割を決めておかないと、科目間の濃淡が出てしまいますし、ダラダラと長い時間かけてしまうことになります。

 ルーチン化されたノルマをこなすというプレッシャーを自分に課したため、全く他ごとをする余裕はありませんでした。

・全科目の全ての答練の一覧表を作り、そこに解いた日付を5~6つ埋める

 とりあえず答練で点数さえ取れれば受かるだろうという考えのもと、同じ答練を5~6回は解きました。
 左の行には答練名、縦の列は空白で作っておいて、解いた回数に応じて答練名の右に日付が増えていくイメージです。
 これを見れば、前回いつやったか、どこが薄いかが分かり、知識のムラをなくすのに役立ちます。

 ただし、やみくもに答練を繰り返し解くのみでは時間がかかって仕方ありませんし、疲れます。
 このルーチン時に何をしていたか、そこに向けてどう学習を進めればよいかを記載していきます。

財務会計論

 計算分野に関しては、ルーチン期の1時間で、予備校の答練(1回1時間、全25回程度)を2回分ずつ「眺め」ました。
 解ける問題に対して、毎回全て電卓を叩いて計算して解答を導き、答え合わせをして喜んでも自己満足にしかなりません。

 目的は、その問題を見たらすぐにゴールに向かって手を動かし始められるか、のみです。

 間違っても、解答欄の貸借対照表、貸借の合計を合わせようとなんて思わない方がいいです。
 本試験で全て問題が分かり、貸借が一致することは100%ありませんし、そんな時間もありません。

 例えば個別問題なら、問題を眺め、その論点ごとにいつも書くメモを書いて、解答が計算できそうなら次の問題へ。
 連結問題なら問題文からタイムテーブルを書き、集計して解答欄に転記できそうなら終わり。

 問題を見て、「あれ、どう解くんだっけ・・・」と立ち止まったら解いてみて答え合わせをするのですが、その問題に印をつけておき、次回の「眺め」ですぐ手を動かせられるかに注意します。

 これはルーチン期の話ですので、最初は1回分解き終えるのに半日かかったりしていました。
 答練を繰り返すうちに、半日かかったのが2時間になり、1時間になり、40分程度になると、もう改めて解く必要がなくなってきます。
 全25回程度ある答練の5~6周目にたどり着く境地です。

 理論分野に関しては、短答対策と論文対策で分かれます。

 短答対策は、とにかくテキストを読み倒しました。
 時間を見つけて短答の答練や問題集を3周程度、テキストを辞書的に使いながら解き、出そうな部分をテキストにメモしていきます。
 その短答素材の集まったテキストを作り、「1日に20ページ」など、試験日までに5周程度読めるよう、残り日数に合わせてページノルマを課して読みます。
 これも一覧を作ったりテキストに日付を埋めたりして、前回読んでからどれだけ時間が経過したかの管理をしていました。

 論文対策は、出題範囲にもあるように重点出題項目が決められているので、予備校もこれに合わせて答練を作っています。
 基本的には答練を周回するだけで対応できるのですが、やりながら「解答例の文章構成と接続詞が大半同じ」という法則に気づいてきました。
 「(導入)〇〇とは・・・。(導入)一方〇〇は・・・。(趣旨)これは・・・。(事例分析)ここで本問において・・・。(事例あてはめ)そこで・・・。(結論)したがって・・・。」
 つまり大半の問題をこの流れで書けば、部分点が必ず拾えます。
 全ての問題に対して解答を暗記することは非効率なので、問題に合わせた接続詞をまず覚え、そこに理論が通っていくように自分なりの言葉で書いていけば十分合格点はもらえます。
 接続詞を意識して答練を何度も解いてみるといいと思います。

管理会計論

 管理会計論は短答と論文でそれほど勉強法に差はありませんし、マニアックな問題も頻出するので、あまり特別な対策は必要なかった覚えがあります。
 財務会計論でも書いたように、答練をできる限り(やはり5~6回)解きました。
 こちらは財務会計論以上に計算力を要するので、基本的に頭休めと思って電卓を叩いていました。
 何度やっても計算間違いが出てくるので悲しくなります。

企業法

 非常に差が出る科目だと思いますし、短答と論文で対策が異なります。

 短答対策は、財務会計論と同じように、とにかくテキストの読み込みに尽きます。
 短答対策テキストを作り、日付管理を行いつつ、1日に読むべきページ数のノルマを決め、何周も読み続けました。

 論文対策では、論文問題集解答例の文章構成をまず分析し、問題に対して、どう結論までの文章を書くかのフローチャートを書く練習を繰り返しました。
 長い文章を頑張って書いても頭に残りませんし非効率です。

 「導入⇒定義⇒意義・趣旨⇒事例分析⇒あてはめ(書けたら判例)⇒結論」

の骨組みをまず作ってしまいます。

 骨組みの中で外せないキーワードだけは最低限覚え、それを矢印で繋いでいくイメージです。

 条文は本試験で与えられるので、どの辺りに書いてあるかだけ把握しておけば正確な条文数字を覚えておく必要はありません。
 また全条文を漏れなく書く必要もありません。
 そのフローチャート上に、「〇〇条周辺」とメモができるようになれれば十分です。
 これも、ルーチン期には1日5問程度、問題集3~4周するよう何度もフローチャートを書きました。

 完璧な答案ではなく、あくまで受験生の平均ちょい上を目指した答案をつくることが目的です。
 自分の言葉でも、理論的で文章構成のしっかりした文章を書くことを目指しましょう。

監査論

 一応短答対策に監査基準や倫理規則は数回読みました。
 しかし、監査実務もやったことがないのに雲をつかむような話ばかりで、全くイメージがつかず、安定した点数も取れなかった科目です。
 どれだけテキストを読んだり答練を解いたりしても、部分点すらこなかったこともざらにありました。
 覚えるべき定義や用語だけ覚えて、深追いしないことが1番だと思います。
 的外れな解答を書くことも多かったので、答練を解く際は徹底的に問題文を分析し、何を聞かれているのかを長い時間かけて考えるようにしました。
 答練の頻出論点だけは確実に点を取る、ということが重要だと思います。

租税法

 短答では試験科目ではありませんので、短答合格までは後回しです。
 予備校の方に怒られるかもしれませんが、正直授業も受けている時間はありませんでした。
 授業を受けても実際に勉強するのは短答合格後なので、その頃にはほとんど忘れています。

 何冊もあるテキストを一から読んでいる時間もなかったので、いきなり答練を解き始めました。
 解説を読んで、どうしても分からない時にだけテキストに頼りました。

 答練を4~5周もすれば、ある程度安定した点数は取れるようになっていきます。
 幸い、租税の問題は個別論点の集合なので、できるなら解く、できない論点は捨てる、が非常に有効です。
 また、他の受験生も勉強が間に合っていませんので、レベルの低い母集団での戦いになります。
 最低限の法人税、消費税の基本的な部分は点数が取れるようになるといいと思います。

経営学

 こちらも短答では試験科目ではないので短答後に対策することとなりますが、管理会計と考え方が被る部分も多く、難易度も高くないのでそれほど時間を割いていませんでした。
 答練を周回し、テキストを簡単に読む程度で十分です。

総括

 以上、長々と自分の経験を覚えている限り書き連ねてみました。

 書きながら、効率的な勉強法と言えども一定の勉強量は必要だとあらためて感じました。

 二度とやりたくないと思う一方で、自分の勉強だけに集中すればいい生活は楽だったとも思います。
 仕事となれば、社内はもちろん社外との関係にも気を遣う必要があり、勉強とはまた違ったストレスを感じるためです。

 受験勉強は長く非常につらいですが、早期合格できるよう、読んでいただけた誰か1人にでもお役に立てればうれしいです。

 ↓↓↓質問、感想、要望等あれば遠慮なくコメントを頂ければと思います↓↓↓

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